【第四章:静かな崩壊──軍団長の心が折れていく音】(第二十話)責任感だけで立っていた12月、心が限界を迎えた瞬間

物語

2023年12月。

冷たい空気が肌に触れた瞬間、胸の奥の“まだ治っていない部分”がきゅっと反応しました。

9月の休止から、もう3ヶ月。
遠隔で最低限の管理はしていたけれど、
僕自身の心はまったく戻っていませんでした。

だけど──
メンバーから言われた言葉が、ずっと頭に残っていました。

「アルさん、戻ってきてほしいです。
もう一度だけ、一緒にやってほしいです。」

戻りたくない気持ちと、
戻らなきゃいけない現実。

その狭間で揺れたまま、僕は12月の朝を迎えました。

🐾 

■ 再びホールに立った朝、世界が“遠くに”感じた

開店前の並び。
以前なら空気の流れまで読み取っていたのに、
今日はただの“人混み”にしか感じませんでした。

店内に入ると、
ライトの明るさ、台の音、メンバーの動き――
全部同じはずなのに、どこか距離がある。

台に座って、最初のレバーを叩いた瞬間、
胸の奥に冷たいものが沈んでいきました。

「……まだ戻れてないんだな」

そう思うしかありませんでした。

■ 勝ち方は身体に染みついていても、心だけが動かない

立ち回りや判断力は、
休んでいた間にも劣化していませんでした。

だけど、
期待値を積んでも、収支があがっても、
心がまったく反応しない。

“勝つ”ことが日常になりすぎて、
感情の回路が壊れたように静かでした。

🐾 

■ “やらなきゃ” だけが身体を動かしていた

年末が近づくにつれ稼働量は増えたけれど、
僕の心は前に進まないまま。

・迷惑をかけたくない
・僕がやらなければ回らない
・逃げられない
そんな義務だけが、僕を12月のホールに立たせていました。

ある日、ふとした瞬間に思ったんです。

「……あ、これ限界なんだ」

その言葉が自然に浮かび、
胸の奥が静かに冷えていきました。

■ 静かに“終わりの気配”が近づいていた

12月の稼働を続けても、
心はどんどん摩耗していくばかりでした。

勝っても虚無。
負けても虚無。
収支が上がっても沈黙。

そんな日々の中で、
「もうこれ以上稼働は出来ない」


その決意がゆっくり形になっていきました。

🐾 

■ そして、2024年1月へ──解散の決意へ進んでいく

12月の復帰は、
“戻るための復帰”ではありませんでした。
これは、終わりを受け入れるための⸻

”最後の確認作業のような1カ月でした”

この月を越えた先で、
僕はついに軍団を解散する決断をすることになります。

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