【第三章:軍団長と全盛期】(第十話)養分社長との出会いと“仲間を増やす決断”をした日

物語

2020年の年末が近づいてきた頃。
僕の専業生活はようやく軌道に乗り始めていました。

そんなある日──
仲のいい知人から、とある話が舞い込んできました。

「知り合いの社長が、専業に興味あるらしいよ」

最初は軽く流していましたが、
どうしても会いたいと言われ、
僕は稼働を休んで某ファーストフード店へ向かうことにしました。

■ 養分社長との出会い

店に着くと、そこにいたのは
40代くらいの、ごく普通のおじさん。

パチスロはほとんど触らず、
パチンコをたまに打っては負け続けているタイプ──
いわゆる “養分” そのものでした。

(ここでは養分社長と呼ぶことにします)

話していくうちに、社長はこう言いました。

養分社長
養分社長

仕事は忙しいけど時間は自由にできるし、勝てるようになって一緒に稼ぎたいんだよね

アル
アル

じゃあ最初は打ち子として来てもらって、1から教えますかね

そんな軽い気持ちで進めていたのですが……

社長から、予想もしなかった提案が飛んできました。

■ “人を増やせば勝てる” という発想

養分社長
養分社長

これって、人を増やせば増やすほど勝てるってことだよね?

アル
アル

まぁ……理論上は。
でも、ただ増やせばいいってわけじゃないんで難しいですよ

養分社長
養分社長

じゃあさ、うちの会社を使って人集めてみない?

……え?

まったく予期していなかった方向からの提案でした。

打ち子を増やすと当然、
        •       引き子の人件費
        •       打ち子の人件費
        •       交通費
        •       台取りの失敗リスク

これらの 経費が一気に跳ね上がる。

軌道に乗り始めたばかりの僕には、
そのリスクが大きく見えて、正直ビビっていました。

アル
アル

経費もかかりますし……
正直、さばき切れる自信がないですよ

すると社長は笑いながら、

養分社長
養分社長

じゃあ交通費は全部俺が出すよ!
引き子は1200円、打ち子は11000円で募集してみようよ!

押しの強さに少し戸惑いながらも、
ここまで言ってくれるなら……と、僕は提案を受けることにしました。

アル
アル

その条件なら、やってみようと思います!

これからよろしくおねがいします!

養分社長
養分社長

こちらこそ。これからよろしく!

こうして僕は、人生で初めて “求人を使って仲間を集める” という決断をすることになったのです。

■ 人が集まり始め、世界が広がっていく

そこから数週間──
想像以上のスピードで応募が来ました。

・出勤前に小遣い稼ぎに来るおじさん
・副業を掛け持ちしている人
・明らかに生活が苦しそうな人
・旅のついでに来る人
・若い子、主婦、社会人……

本当に色んな人が集まってきて、
現場は一気に“賑やかなチーム”のようになっていきました。

もちろん、ここには書けないような工夫や対策も多くありましたが──
(※この辺りは別で詳しく話します)

トラブルももちろんありましたが、
結果的には 3年間で50人以上が現場に来てくれる規模 にまで成長しました。

■ それでも僕は“打ち子をおすすめしない”

楽そうに見えて、実際にはかなり過酷です。
        •       抽選前集合〜閉店近くまで拘束
        •       昼飯・タバコ・トイレの時間制限
        •       ずっと座りっぱなしで体を壊す
        •       親(雇い主)によっては奴隷のように扱われる
        •       自分の自由な稼働がやりにくくなる

まさに ブラック企業の最下層みたいな世界。

軽い副業としてならアリですが、
生活を支える仕事としてはあまりおすすめしません。

■ 年末の空気と、まだ未完成だった僕

2020年の年末。
人も増え、立ち回りにも幅が出てきた。

けれどメモを見返すと、
まだどこか“ぎこちなさ”や“未熟さ”が残っているのが分かります。

狙い機種も、
いかにも当時の専業が好む“6判が簡単な台”ばかり。

この頃はただがむしゃらに期待値を追っていただけ。

まだ本当の全盛期はここからでした。

■ 次回予告:専業2年目の収支と、さらに加速する全盛期へ

次回は、
専業2年目の収支を振り返る話 に進みます。

ここから僕の軍団長生活は、
さらに大きな転機を迎えていくことになります。

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