【第四章:静かな崩壊──軍団長の心が折れていく音】(第二十一話)そして、パチカス人生の終わり

物語

■ 2023年の終わり、心だけが置いていかれた

12月の稼働に、最後の力を振り絞っていました。

身体はまだ動いてくれるのに、
心だけがどこにも向いていかない。

勝てる方法も、勝ち続ける仕組みも、
全部わかっているはずなのに──
それを使う気力が、もうなかったんです。

それでも「12月だけはやろう」と決めて、
僕は淡々と、静かに、1ヶ月を走り切りました。

けれど心の火は、もうほとんど残っていませんでした。

■ 年間の数字が示す“限界”

2023年の収支表を見ると、僕は確かに結果を出していました。

正直、金額だけを見ると「このまま続けるべき」だったと思います。
軍資金もあり、仕組みもあり、仲間もいた。

──続ける条件は、全部揃っていた。

でも、その数字の向こう側にあったものは、
誇らしさや喜びではなく、
「ここが限界だったんだな」という静かな実感 でした。

🐾

数字としては過去最高クラス。
でも、心の状態は過去最低でした。

■ 正月、もう一度だけ向き合ってみた

2024年に入ってから、僕はほんの少しだけ考えました。

「……もしかしたら、まだ続けられるのかな」

そう思い、ホールへ行ってみようとした日もありました。

けれど結局、ほとんど稼働することなく1月は過ぎていきました。

心が、もう戻らなかったんです。

まるで自分の中のエンジンが壊れたまま、
二度と回らなくなってしまったような感覚でした。

■ 軍団長として、最後の責任

僕は覚悟を決めました。

「ここで終わりにしよう」

それは敗北ではなく、逃げでもなく、
“自分を守るための選択” でした。

長く一緒に頑張ってくれたメンバーに感謝しながら、
僕は静かに、軍団を解散しました。

彼らのおかげでここまで来られたこと。
そして最後までついてきてくれたこと。
その事実だけで胸がいっぱいになりました。

🐾

 ■ パチカス人生の終わり

2019年、依存症でどうしようもなかった僕が、
スロットだけで生活を成り立たせられるようになった。

年間ミリオンを連続で出し、
1000万の壁を越え、
軍団を率いて走り切った。

本当に色んなことがあった。

でも今は、静かに思います。

「あぁ、これで良かったんだ」 と。

■静かに未来へ繋がっていったもの

こうして僕のパチスロ人生は、
一度そっと幕を下ろしました。

あの頃のように戻ることは、
もうないのだと思っていました。

けれど数年後、
気づけばまた光の下に立つことになります。
その理由を、この時の僕はまだ知らずにいました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました